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Dutch Architectures Part 1
こちらは金曜日の夜です。先週はこちらで事務所を構える上原雄史さんの事務所に東工大の方々に誘われて行ったのですが、明日はデルフト隣人会という集まりがあるので、今日は一週間の疲れを癒す意味も込めて自分の部屋でのんびりしています。

というわけで以下、もう2週間以上前になりますが、オランダに来てから見た近現代建築のうち、幾つか気になったものについて書きます。
既に忘れかけているので、各建築に対する蘊蓄は書けません…。


1,Van Nelle 煙草工場
オランダに到着した翌日に玉木さんに連れられて見に行ったDutch Modernismの最高峰のVan Nelleです。堂々と入れば入れます。
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何といっても醍醐味は「軽さ」と「透明感」です。
このBridgeのSlabの薄さにまず感動します。
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近代建築の原則=合理性であると曲解してみると、一見ランダムなこれらのブリッジはPlan上の制約から必然的に生み出されたものであると考えることができます。
ブリッジの端部が曲げてあるのもモーメントに対抗しながら材料を減らす(多分)ことを動線のスムーズさよりも優先させた為と理解できます。
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このガラスの透明感はなんなのでしょうか?昔だからシングルガラスでしかも薄いのでしょうか。晴れていればもっとすごいことになるのでしょう。
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かっこいい…。
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内装は極めてシンプルな造りです。
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教科書で良く見るこのViewで何の建物かわかるでしょう。
この建物は確かに歴史的に重要で少し偏った合理主義から生み出された形態はかっこいいとしか言いようがないのですが、やはり現代的な視点から見たときにこれを絶賛しているようじゃやばいんじゃないか?という観点から、僕のお気に入り順位としては3位にします。

2,オクラホマ(100人の高齢者集合住宅)
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建築学科生で知らない人はまずいないこのMVRDVのオクラホマ(100人の高齢者集合住宅)です。
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まあ、これだけ勢いをつけられれば世界が変わるのかもしれませんが、この場所でこの勢いを出す理由が皆無と思われるため、僕のお気に入り順位は最下位の5位です

3,Sarphatistraat Offices
次はSteven HollのSarphatistraat Officesです。
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最後の写真のように川の対岸から以外は全く見えません。オフィスなので実際には入れないのですが、フロントで「俺はこの建築を見る為にアジアから来たんだ~~。」と言ったら、内部を15分見学させてくれました。
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建築の作り方はBlock状のMassにランダムに穴を空けていった形です。内観は不思議な感じです。
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厚い壁ですが、明らかな素材の移り変わりが確認できます。自分で設計するなら、同じ素材でより厚く見せると思いますが、こんな造り方もアリだと思いました。
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接写です。
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謎の青色がオランダらしさを感じさせます。
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これは既存の建物を増築したもので、既存部分も同じルールで穴が穿たれています。
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外観はこんな感じです。この外壁は銅のパンチングメタルで覆い緑青をふかせる事で、このCGみたいな外観を作っていて、内壁との間に配管や空調ダクトを入れているようです。

オランダに来てまだ何週間かしか経っていませんが、この建築を評価するのには空間という観点以上の理由があります。
このサルファティストラートのオフィスはアムステルダムの中心街からほど近い、所謂「石の文化(主に煉瓦)」の建築群の中にあります。しかし、それも当然「今は昔」の出来事なので現代的な建築がちらほら建っている訳です。
しかし、それらは本当に「石の文化」に合っていない。
オランダの現代建築は基本的にOperation of Form and Colorなので、絶対に街並みに調和するはずなどないのですが、それでもこれまで築いてきた歴史に対して、無頓着な建て方をしすぎだと思えます。
これは東京のように歴史的には「木の文化」の中で育った上に第二次大戦で焼け野原になった東京に育った自分というよそ者の視点なのかもしれませんが、勿体ないし設計としてヘタクソだと思います。
しかし、実際、この街並みに対して建築家ができる事は本当に少ないというのもまた事実です。この連続感のある街並みの中で新しく、かつ周囲に対して嫌じゃない建ち方を考えると言うのが使命であるように感じていたところ、それらを見事の肯定的に捉えなおしていると思ったのが、このSteven Hollの建築ではないかと思ったわけです。この建築は時間が経つほど、味が出ると思います。
そして「石の文化」に対して、立ち振る舞いを考えることというのは自分が設計するときのヒントにもなりそうです。
というわけでお気に入りランキング1位です。


4,アルメラエクスカージョン
さて、たまたま誘われて、TU Delftの生徒達と一緒にアルメラにStudy Tripをする機会があったので、それについても少し取り上げます。
ちなみにこのアルメラのマスタープランがOMAがやったとか何とか言っていたのですが、とりあえず、建っている建築の殆どには全く魅力を感じません。というわけで、わざわざ来てまで見るに値するのはスタッドシアターだけでしょう。

4‐1,スタッドシアター
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周囲の大味な建築群を通り抜けてスタッドシアターにたどり着くとその繊細さに愕然とするほど感動します。そして、敷地も最高です。
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このエントランスはSANNAって感じです。
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下のレインスタッドのシアターに対して、日本人にとっての多様性とは微差の中に存在するものなのだということをつくづく感じます。
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この空間は光に充ち溢れ、海と水面の反射で全く新しい空間になっていました。遠くの子が天使に見えます。右側のガラス面では方立が面の後ろに隠してあるのもポイントだと思います。
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柱があえて方立から切ってあったり、机の天板が薄く見えるように斜めにカットしてあったり、足が分かれていたり、方立が前面に出てこないように工夫してあったりと、この繊細さが日本人を日本人たらしめているのだろうと感心しました。
やはりSANNAの建築は美しいですね。
なので、お気に入りランキングは2位です。

4‐2,Lelystad Theater

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LelystadにあるUN Studio設計のTheaterです。Dutch Comtenporaryに初めて会いました。全体としてはダサい形も部分部分では確かにエッジが利いていてカッコよく、思考停止に僕を陥らせました。
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外がオレンジかと思えば、中はピンクをベースに展開されます。
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劇場内部ですら装飾で主張してきます。
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しかし、部分だけ切り取るとかなりかっこいい。
この複雑すぎる造形なのですが、なぜだか施工が異常にきれいなので、それを尋ねてみたらUN Studioは施工者も含め全員が3D CADの特別なソフトを扱えるらしいです。それがこの施工精度を実現させていると言っていました。
一緒に行ったオランダ人のマヨラインが「Really Cool!!」と連発していたので、こちらの文化ではこれが評価されるのでしょう。
とにもかくにも、僕には意義を感じさせない「色」と「造形」の過度な操作がまだ受け入れられないでいます。

4‐3,Construction Site
たまたまマヨラインのお父さんがこの現場の所長ということで現場見学できました。
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柱とスラブの薄さにたまげましたが、これが「海外は地震がないから」という理由だけではない技術を目の当たりにします。
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まずはこの「The 外断熱」を見て下さい。二枚のスタイロをはじめとした外壁材がぐんぐん伸びて行くのがわかるでしょう。これを日本でやったら夏とかヤバそうだと思いながらも専門的な知識がなく結局わからず…。
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これが柱とスラブの薄さを実現させた張本人、空気入りゴムボールです。僕の理解では、これを敷いてからコンクリートを打設することでコンクリートの量を減らしながらもハニカム状にコンクリートが打たれるために十分な強度が確保でき、床が軽くなる為に当然、柱も細くなるというLogicです。

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という訳で最後に記念写真とともに回想を終了します。
これで過去は清算したぞ~~!!
by machine1984 | 2008-02-16 06:44 | 建築
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渡辺典文 / Norifumi Watanabe The University of Tokyo Graduate School of Engineer Architectural Department Master Course
by machine1984
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