人気ブログランキング |
オランダが染まる日-101-
オランダ人の生活は質素でケチだと評されることが多い。
実際、それは真実でみんなとお昼ごはんを食べに行っても、一番小食のはずの僕が常に一番お金を使っている。
"If it is free, you have to take as much as possible. If you can do it, you will be Dutch!!"とエクスカージョン中にユースで昼ごはん用のパンを袋に詰めていたJanに言われるように彼らは自分の精神を自覚している。

しかし、それは同時に真実ではない部分を含んでいる。
彼らは同時に気前が良いのだ。
例えば、オランダ政府は毎年世界の貧困削減の為に国民総生産の0.8%を開発協力に寄付しているというし、エクスカージョン中にもお昼を用意していなかった僕にJanは自分のご飯の半分以上を分けてくれたりした。

"Go Dutch!!(割り勘にしよう!)"は必ずしも真実ではない。

そんな政府の気前の良さはオランダ国内においてもまた真実だ。

例えば、オランダではWall Paintingなどを日本のように頭ごなしに取り締まったりはしない。
「描いても良いけど、水性でやれば良い。」
もっと言えば、仮に油性でやったとしても「クオリティの高いWall Paintingは中々上書きされないから残るでしょ。」というくらいの精神なのだ。

「度を過ぎない限り寛容」というのがオランダの精神。
そもそも「自由の国オランダ」というのだから、質素やケチという言葉で語れるはずがない。


そんなオランダという国を象徴する日が4月30日のQueen's Dayだ。
これはオランダの前のQueenであるJuliana女王の誕生日であり、女王の誕生日を祝うFestivalがオランダ国内の至る所で行われる。
そして、このお祭りに参加するものはオレンジを身にまとわなければならないという暗黙の了解により、オランダは国の色であるオレンジに染まることになる。

普段は街の主要交通機関であるトラムですらもこの日は(皆が心おきなく騒げるように、あえて)不通になる。これもオランダ的合理主義。

そんなオランダ国を挙げてのお祭りに参加しないわけにはいかない!!
ということで、29日は女王が生まれたDen Haagに、30日は首都であるAmsterdamへと繰り出してみた。

29日のDen Haag。
これが本当の生誕前夜祭だと言わんばかりに国会議事堂や各大使館など政治機能の中枢であるDen Haagの街全体がお祭り会場と化す。
e0126140_5582125.gif
屋外ライブ会場が設置される。これが最も小さなライブ会場である事は後々知ることになる。
Den Haag内に5つのライブ会場と、一つの巨大な移動遊園地、そして無数の飲み屋が現れる。
e0126140_558497.gif
お祭りが開始される。教会前の広場でライブが開催されるなんて、オランダ人の大らかさを感じさせる。
e0126140_559319.gif
移動遊園地の一部。日本の縁日のような不思議な光景。
e0126140_5593985.gif
絶叫マシーンのようなものまで登場。
e0126140_5595254.gif
メインのライブ会場であるOMAのダンスシアターとRichard Meierの市庁舎の間の広場。余りに人が多すぎて全くステージに近寄れない。
近寄っても全員デカすぎて全く前が見えない…。
途中、僕らを日本人と知覚したおばちゃんに抱きしめられ豊満な胸に埋もれることになる。。。
e0126140_60554.gif
瓶や缶などは散らばり放題。サンダルで歩いたら血まみれになっただろう。
解放されたオランダ人はこの日はやりたい放題。
しかし、12時を回りしばらくするとライブは収束へと向かい、明日に備えてオランダ人は一気に帰路につきはじめる。その辺りの切り替えの早さもオランダ人らしい。

やるときはやる(のかはわからないけど)、やめるときはスパッとやめる。

そして、本番の30日を迎えることになる。

準備をして、中川さん岩間さんとAmsterdamに向かう。
丁くん、マチさんと落ち合い5人で街へ繰り出す事に。
e0126140_602893.gif
まだ昼飯前だというのに既に街は人であふれかえり始めている。楽しすぎる。
e0126140_605329.gif
謎の宗教軍団も自ら音楽を奏でながら行進していく。楽しすぎる。
e0126140_1042691.gif
ちなみに僕はこんな感じ。
楽しんだモン勝ち。
人ごみの中では首から上に力を集中させた方が効果的。
こんな事をやっているアジア人は僕らくらいだった。
「お前、オランダ人じゃないだろ!」という突っ込みは却下。
e0126140_612036.gif
Dam広場の前にはまたも移動遊園地がやってくる。
こんな本格派絶叫マシーン本当に危険そうだけど大丈夫なのだろうか…。
e0126140_613488.gif
さらにオレンジ率は高まり・・・
e0126140_6150100.gif
川にまであふれだす。この光景やばすぎる。
e0126140_62420.gif
異世界への扉。
この小道を抜けると、Red lightの最もコアなゾーンへ…。
この日も紅い灯りは消えることはない。
e0126140_622021.gif
高見の見物。
きっとそこからの景色はたまらないんだろう?
e0126140_623369.gif
夕焼けに染まる午後の9時。

さすがに疲労困憊で帰りの電車に11時過ぎに乗り込むも、電車内の誰かが緊急ブレーキをかけた為にAmsterdam Delft間が2時間もかかる。
警察が電車内の乗り込み犯人の捜索を開始する。
ドアはロックされ、犯人は電車から出ることができない。
そして、捕まった。

Harlem駅のホームを歩く犯人にはブーイングの大合唱。

「度を過ぎた場合は寛容でない。」

これもオランダの精神だ。



それにしてもこのような国を挙げてのFestivalができてしまう所がオランダっぽくてたまらない。
”ParisのNew Yearっぽい”と言っていたけど、パリでもライブ会場とか設置したり、道路を公的に歩行者天国にしたりしてやっているのだろうか?

これが東京でできるだろうかと考えてみると、答えは一瞬で否となる。
第一に東京全域では都市の規模が大きすぎる。
新宿や渋谷などの一部だけでは逆に小さすぎて、膨大な人口をさばききれない。
そして、国民に盛り上がろうという一体感がない。

Rotterdam Film Festivalのときにも感じたことだけど、オランダ人は「都市を使った企画」をするのが上手く、国民もまた「都市を全身で楽しむ」ことが上手い。
僕は一応、建築学科のはしくれだから東京の街を歩いているだけで楽しくて仕方ないけど(その意味では東京かNew Yorkが最もExcitingだと思う。)、”Normal People”が都市が都市を楽しむためには財布をすり減らさなければならない。
東京はShoppingに支配されている。

六本木でお金を落とさなければ楽しむことができない。
渋谷でお金を落とさなければ立ち止まる事さえ許されない。
(昔、自分で渋谷を調査していてお金を払わずに休もうと思ったら、東急ハンズの家具売り場しか思いつかなかった。)
東京国際映画祭はイマイチ実感が湧かない。
東京デザイナーズウィークもやっぱり制限された盛り上がりだ。

この臨場感の違いは何なんだろう。
僕の立場の違い以外にもOrganizationや気質など決定的に違う部分が幾つも存在しているように思う。

そして、やっぱり僕は建築単体を作るよりもUrbanとHumanのスケールを行き来する事象に興味がある。
その方が世界が変わる気がするからだ。
これは世界が複雑になりすぎて残念ながら建築家がほぼ失ってしまったと言っていい職能だろう。

社会に出たら利益を上げる責務があるけど、建築を学んだ者の責務として東京をより面白い(幸せな?何か良い言葉が必要。)都市にするために何かコミットメントできないだろうかと思う。

それ自身は昔から考えていたことなのだけれど、それを実践しようとする前にここオランダで僕はオランダの住人になりたい。
オランダの都市くらいは語ってみたい。

書いていて、これが僕のやりたかったことなのだろうかと思うようになってきた。
人間的な修行ばかりをしていて、建築的な事に全く辿り着いていなかった。
この事実に気がつくまでに要した時間、100日間。

そう。今日はオランダにきて101日目
by machine1984 | 2008-05-02 09:32 | 妄想
<< Tuginaru Shiren 風物詩 >>



渡辺典文 / Norifumi Watanabe The University of Tokyo Graduate School of Engineer Architectural Department Master Course
by machine1984
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31